「待て」しか教えなくても困らない理由 — 久保家の場合

「お座りもお手もできないんです、うちの柴犬」。逗子の披露山公園で他の飼い主さんと話していると、よくびっくりされます。ふくは6歳、あんは2歳。2匹とも、私が教えたコマンドは「待て」だけです。それでも、生活で困ったことがほとんどありません。

この記事は、「柴犬のしつけが進まなくて落ち込んでいる」「お手やお座りを教えても全然できなくて、私のしつけ方が悪いのかと不安」という飼い主さんに向けて、コマンドは少なくても大丈夫だったという久保家の一例をお伝えするものです。

なぜ「待て」だけにしたのか

最初から「待てだけ」と決めていたわけではないです。生後4ヶ月のふくにお座りを教えようとしたら、3週間やっても全くできませんでした。柴犬のしつけ本に書いてある「ご褒美のおやつを鼻先に持ってきて、後ろに引いて頭を上げる」をやっても、ふくは「は?」みたいな顔をするだけ。

近所の柴犬コミュニティで先輩飼い主さんに相談したら、「柴犬は『芸』に興味がない子が多いから、無理してお座りやお手を覚えさせなくていいよ。生活で本当に必要なのは『待て』だけ」と言われました。それから、私はコマンドの追加を諦めて、「待て」の精度だけを高めることにしたんです。

「待て」だけで本当に困らなかったケース

実際の生活で、「待て」だけで何とかなった場面を時系列で書きます。

食事のとき

ふくの食事の前は、必ず「待て」をかけます。10秒くらい待たせてから「よし」で食べさせる。これは6年続けています。「お座り」を要求しなくても、ふくは自分から座って待つようになりました。柴犬は『察する』犬種なんだと、この頃から思うようになりました。

散歩で車道に出るとき

田越川沿いを歩いていて、信号で止まるときに「待て」。これだけで、ふくは私の横にぴたっと止まります。「お座り」と教えなくても、止まって待つ動作は自然にできるようになりました。

来客のとき

これは正直、最初は苦戦しました。ふくは警戒心が強くて、知らない人が玄関に来ると吠えていたので。でも、ケージに入れて「待て」をかけるようにしたら、徐々に落ち着くようになりました。今では「待て」と言うとケージに自分で入って、来客が帰るまで吠えずに待ちます。

ちなみに、来客時のおやつ作戦も試しました。

これは無添加のさつまいもジャーキーで、ふくがケージで「待て」を頑張った後のご褒美に使っていました。塩分が入っていないので毎日少量ならあげても良さそう、という近所の獣医さんからの助言で選びました。ただし、おやつだけで来客時の吠えが消えるわけではないので、ジャーキーは「待てができたご褒美」として位置付けています。

多コマンドを教えなかった結果

ふくに「待て」しか教えなかったので、妹のあんにも同じ方針で来ました。生後4ヶ月で迎えたあんも、コマンドは「待て」だけです。あんはふくより社交的で、ボール遊びにも興味があるんですが(柴犬には珍しい)、それでもコマンドは「待て」しか反応しません。

それで何か困ったかというと、6年間で1度もないです。むしろ、他の柴飼いさんが「お手を教えるのに半年かかった」「お座りが続かない」と苦労している話を聞くと、最初から諦めて正解だったと思います。

柴犬と「芸」の相性について

これは私の素人観察なので話半分に聞いてほしいんですが、柴犬は**「役に立つこと」しかやらない犬種**なんじゃないかと思っています。お手は人間の遊びであって、犬にとっての必要性はゼロ。だから柴犬は「なんでこんなことやらないといけないの?」と思っているように見えます。

一方で、「待て」は犬にとっても意味があります。「待つ」と「ご飯がもらえる」「散歩が始まる」「危険が回避できる」。だから柴犬は素直に覚える。少なくとも、ふくとあんを観察している限りでは、そういうふうに見えます。

「待て」を教えるときに意識したこと

ふくに「待て」を教えるときに、私が意識したのは3つです。

  1. 時間を伸ばすのは少しずつ: 最初は3秒。1週間後に5秒。1ヶ月後に10秒。一気に伸ばすとふくが諦めて勝手に動き出します。
  2. 「よし」のタイミングを毎回明確に: 「待てたから、はい食べていいよ」みたいな曖昧な解除はやめて、必ず「よし」とだけ言う。
  3. 失敗したら叱らない、ただやり直す: 待てなかったら、フードを下げてもう一度。これを何度かやると、ふくは「待たないとフードが来ない」と理解しました。

やってしまった失敗

  • お座りを3週間頑張ってしまった: 早めに諦めて「待て」だけに集中していれば、もっと早くしつけが進んだと思います。
  • おやつを使いすぎた: 「待て」を教える時、おやつをあげすぎて体重が増えてしまい、獣医さんに注意されました。今はおやつは1日5g以内にしています。
  • 多頭飼いで同じコマンドを2匹に同時に教えようとした: あんを迎えた時、ふくとあんを並べて「待て」を教えようとしたら、2匹とも集中できず失敗。1対1で教えるのが基本だと痛感しました。

まとめ

  • 柴犬は「役に立つコマンド」しか覚えないタイプが多い(うちの場合は)
  • 「待て」だけで生活はほぼ困らない(食事・散歩・来客で対応可)
  • お座りやお手が覚えられなくても、飼い主が悪いわけじゃない
  • 多コマンドより、1つのコマンドの精度を高める方が実用的だった

ただし、これはあくまで久保家の場合です。柴犬でもお座りやお手をマスターする子はいます。覚えられなくて落ち込まないでほしいという主旨であって、「教えるな」という意味ではありません。私は獣医ではないので、しつけや行動で本当に困った場合は、必ずかかりつけの獣医や柴犬経験のあるドッグトレーナーに相談してください。

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この記事を書いている人

久保里奈(くぼ りな・39歳)
神奈川県逗子市在住のフリーランスデザイナー。 柴犬「ふく(メス・6歳)」「あん(オス・2歳)」と暮らしています。 柴犬専門で10年、咬みつき癖や手作りごはんの試行錯誤の記録を綴っています。

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タグ: #コマンド#しつけ#柴犬